損害額の計算
損害賠償額の計算
加害者に求める損害賠償の額はつぎの方法で計算します。
1 まずは、総損害額を計算します。
(1) 入通院による損害
治療費+休業損害+交通費+付添費+雑費+入通院慰謝料+その他の損害
(2) 後遺障害による損害(1級から14級)
後遺障害による逸失利益+慰謝料+将来の介護費+その他の損害
(3) 死亡による損害
死亡による逸失利益+慰謝料(本人、父母など)+葬祭費+その他の損害
後遺障害のない場合は、(1)
後遺障害のある場合は、(1)+(2)
死亡の場合は、(1)+(3)
となります。
2 被害者に過失がないとき
上記の総損害額から、すでに受け取った額を差し引いた額が加害者に請求できる額です。
3 被害者にも過失があるとき
総損害額から被害者の過失割合分を差し引いた額から、すでに受け取った額を差し引いた額が加害者に請求できる額です。
総損害額×(1-被害者の過失割合)-既受領額=請求額
4 過失割合と過失相殺
掲載準備中です。
入通院による損害の内訳
1 休業損害
交通事故によって休業して、収入が減額したときは、減額分を請求します。
2 交通費
入院や通院のためにかかった交通費です。
3 付添費
幼児や高齢者、心身の障害等により、入院や通院に付添が必要なときの付添した人の費用です。近親者の場合、日額通院3000円、入院6000円程度と計算されます。
4 雑費
入院のときは、1日当たり1500円程度かかるとして計算します。
5 入通院慰謝料
入通院の期間により、一定の幅で、鞭打ち症等の場合、通常の場合、重度の場合の3通りの目安が決められています。
6 その他の損害
その他、具体的な事情によって、特別に損害と認める場合があります(たとえば、予定していた旅行に行けなくなったときのキャンセル料など、いろいろなケースがあり得ます)。
後遺障害による損害
後遺障害とは、(後遺障害について)治療を受けてもこれ以上よくならない、治療を受けなくても悪くならないという「症状固定」になった場合(たとえば、手や足の欠損や関節が一定角度以上は動かないなど)、その程度に応じて1級から14級の等級認定を受け、それの等級や身体精神の症状に応じて下記のとおり損害額を計算して、合算し、これを前記の入通院損害と合計して加害者(保険会社)に請求することになります。
1 逸失利益
障害を受けたことによって、労働能力が十分でないことについて、損害額の計算をします。障害等級により労働能力喪失率の目安があり、たとえば、1~3級は100%、最も軽いとされる14級では5%とされています。現実に収入が減っていない場合にも一定割合で認めるのが通常です。時の経過によって障害が軽減する場合を除き、67歳まで続くものと考え、現実の収入を基準にして、喪失割合をかけてライプニッツ係数*をかけるという計算をします。
基礎収入×労働能力喪失率*×(67歳-固定時の年齢)に応じたライプ係数
2 慰謝料
障害等級に応じて標準額を裁判所が決めています。障害等級ごとの慰謝料額のとおり、1級では2800万円、14級では110万円を標準額としています。
3 将来の介護費
付添介護の必要な障害(通常は1級~3級。しかし、等級がもっと低くても具体的に付添が必要なときを含みます)について、家族の介護が期待できる場合は、常時介護の必要な場合は1日8000円を平均余命まで計算し、ライプニッツ係数*をかけて計算します。
4 装具器具購入費
車椅子、介護ベッド、その他の装具や備品の購入と買い替えの費用を計算します。
5 家屋等の改造費
障害により、住んでいる家屋のバリアフリー化が必要となった場合などに生じます。
6 その他
後見等の申立て費用は相当の範囲で認める。
以上の金額を計算して、合計した額が後遺障害による損害となります。
死亡による損害

下記のとおり死亡による損害額を計算して、合算し、これを前記の入通院損害と合計して加害者(保険会社)に請求することになります。

1 逸失利益
死亡によって、収入がなくなった時は67歳までの就労が可能であったとして計算した額から、生活費*を控除した額を逸失利益として請求できます。
基礎収入×(67歳-死亡時の年齢)に応じたライプ係数
生活費控除:一家の支柱・女性は30~40%、その他は50%、年少女子で男女計全労働者平均賃金により計算する場合は45%。
2 慰謝料
一家の支柱である人が亡くなった場合は、2800万円。その他の場合は、2000万円~2500万円。近親者の分も含んだ額ですが、被扶養者が多数の場合、加害者の悪性、損害額の算定が不可能または困難な事情がある場合は増額が考慮されます。また、相続人が被害者と疎遠な場合は減額されます。
3 葬儀関係費
特に領収証がなくても、葬儀の費用、墓碑や仏壇の購入費等を含めて、150万円とし、この額を超えても損害とは考えない。香典は差し引かない。
4 年金受給者の場合
年金を受給していた者が死亡した場合の年金は、拠出と牽連関係のある老齢・退職、障害年金は逸失利益と認められる。ただし、生活費控除を高く認定することが多い。

児童・主婦・高齢者等の損害
1 幼児・児童・学生の損害
児童については、通常、収入がありませんから、前記の休業損害は発生しませんが、将来の逸失利益は18歳から67歳まで就労が可能であるとして、下記の方法により計算します。
基礎収入×労働能力喪失率×{(67歳-固定時の年齢)年のライプ係数-(就労開始の年齢-固定時の年齢)のライプ係数}
なお、大学生や大学に進学する蓋然性が高い者の場合は、22歳から大学卒、全年齢平均賃金により計算します。
2 幼児・児童・学生以外の無職者
原則として逸失利益は認められませんが、被害者の年齢や職歴、勤労能力、勤労意欲等をみて、就職の蓋然性がある場合は、年齢や失業前の実収入等を考慮した額が認められます。
3 家事従事者の損害

主婦など、家事従事者の場合は学歴計・女性全年齢平均賃金により計算します。就労しており、実収入がこれより高い場合は、実収入により計算します。
4 高齢者の場合
高齢者で、就労しており、67歳を超えて就労の可能性がある場合は、年齢別就労可能年数により計算した金額を採用します。就労の蓋然性が高い場合も、その蓋然性に応じて計算した額とします。